三島の余白に、好きなものを並べて

SLEEPYY・オノデラツトムが語る、店と街とDIYのこと

Text:Maruro Yamashita Photo:Shin Hamada
MAY 22 2026 | 

静岡・三島にある「SLEEPYY」は、洋服や雑貨、ドローイング、陶器、コーヒー、音楽の気配が自然に混ざり合ったお店。店主のツトムくんは、バンド活動を通してフライヤーのデザインやグッズ制作を行い、その延長で2019年にオンラインショップとして「SLEEPYY」をスタート。翌年、2020年に三島で実店舗をオープンしました。
落書き、ポップカルチャー、スケート、バンド。ツトムくんの好きなものたちが、無理なく同じ場所に並んでいる「SLEEPYY」は、まるでツトムくんと看板犬のもんちの部屋に遊びに来たような気持ちになる、最高のお店です。
今回、stacks bookstoreにて「SLEEPYY」のPOP UP SHOPを開催させてもらうということで、皆さまに「SLEEPYY」のことをもっと知ってもらおうと、お店の始まりから三島という街についてなどなど、色々な話を伺いました。

—  「SLEEPYY」はいつオープンしたんですか?

「SLEEPYY」は2019年に始まったんですけど、その時は会社員をやっていて、副業でオンラインショップとして始めました。それで一年経って、この店舗をオープンしました。

ー 会社員時代も三島ですか?

ずっと三島です。地元が隣町なんですけど、三島駅から徒歩5分みたいな町で、ほぼ三島みたいな感じで。

—  三島って都内へのアクセスも良いですよね。

そうですね。今日東京で面白そうなイベントやってるってなったら、新幹線に乗って1時間後にはもう東京なんで、東京で暮らしたいなって思ったこともないですね。
東海道線もあるし、小田急線を駆使すれば新宿まで1600円とかで行けるし。

—  オンラインショップを始めようと思ったのは、元々絵を描いたりしていたから、その流れでアイテムも作り始めたということですか?

元々バンドを20歳くらいの時からやっていて、そこからフライヤーデザインとかグッズデザインをやったり、自分でTシャツ作ったりとかをずっとやっていたんです。そのノウハウを使って、もうちょっとしっかりしたものを作りたいなと思って「SLEEPYY」を始めたっていう感じですね。

—  バンドをやりながら自分たちでフライヤーを作ったり、Tシャツを作ったりする感覚が、そのまま店に繋がっていったんですね。

そうですね。三島の個人店やってる人は、音楽関係者がめっちゃ多くて。元々グッズ作りとか、企画組んで集客するとかを若いときからやってるから、必然的に自営業をやる人が多いのかなみたいな(笑)。

—  「ラーメンやんぐ」の方も、元々バンドをやっていらっしゃったんですよね?

そうですね。あと、「スープカレー よつば」とかもそうですし、うちの下の「YACHT BOOK」の菅沼もバンドやってたりとか。そういうDIYなことを元々やっていた人が多い場所なのかもしれないです。

—  静岡で開催されていた「お楽しみモール」というイベントでも、「SLEEPYY」を含めて三島の皆さんで出展されてましたよね。あれを見ていても、三島って横の繋がりが強そうだなと感じました。

そうですね。縦ってよりは横って感じですかね。年齢バラバラなんですけど、みんな仲良くて。

—  その横の繋がりの中で、「お店をやれば?」と言ってくれたのが「ラーメンやんぐ」の店主だったんですよね。

そうです。「ラーメンやんぐ」は三島の人気ラーメン店なんですけど、そこの店主が「なんかお店やれば?」って言ってくれて。
それでこの辺りの物件を調べたら、結構家賃が安くて。一年間くらいオンラインでやってみて、やれそうだったら会社員辞めて店舗をやることに決めて。

—  店内ではドリンクも販売していて、お茶をしたりもできますが、しっかりした厨房もあるんですね。



最初、ピザをやろうとしてたんです(笑)。ピザ窯もあって。スライスピザを食べながら、デザインや洋服を見てもらえたらめちゃ良いよなって思ってたんですけど、ちょうどオープンがコロナのタイミングになっちゃって。オープンのタイミングでは緊急事態宣言とかが出て。一旦飲食はやめるかって感じで、アパレルだけでスタートしました。
結局、アパレルとかデザイン作業が忙しくて、ピザをやってる暇がなくなっちゃって。一旦放置してます。たまに陶器を焼いたりとか(笑)。


—  飲食に関しての変更はあったけれど、お店としてのあり方というか、イメージ的なものは当初から変わりはないのでしょうか?

そうですね。でも、初めはもうちょっとシュッとしてましたね。白を基調として、モダンな感じというか。それこそ<SUPREME>とかもめっちゃ好きなんで、あの感じというか(笑)。けど、どんどんごちゃごちゃになっていって。ポップカルチャーも好きなんで、それがどんどん混ざって今の形になりましたね。


—  そうやって、好きなものがジャンルは違えど、等しく並行して置かれている感じが、すごく良いですよね。自分も「stacks bookstore」をそういうイメージで店作りしているところがあるので、とても共感します。

嬉しいです。自分の部屋に友達が遊びに来てくれたくらいの感じが良いっていうか。


—  その「自分の部屋の延長」みたいな感覚と、ツトム君の描く絵の感じも繋がっている気がします。絵を描き始めたのも、バンドからですか?




そうですね。でも、小学校くらいから落書きみたいなのがずっと好きで。教科書とかも落書きだらけで(笑)。その延長で、バンドのグッズのデザインとかもしてて。落書きが好きですね。アートっていうよりは落書き。あとはポップカルチャー、カートゥーン、スケートとか、そこら辺のノリが好きです。

—  音楽をやり始めたきっかけも、そういうカルチャーが好きだったからなんですか?


音楽はまた別で、中学校のときに文化祭で先輩がバンドをやってて、「音でけー! カッケー!」みたいな。そっからハマっていって、色々調べていって、どんどん枝分かれしていった感じですかね。


—  三島ってライブハウスも多いんですよね?




老舗の「ゴリラハウス」っていうところがあって、最近だと小さいライブスペースで「roji」ってところができたり、「STAY PUNK」っていうところもあったり、色々ありますね。



—  クラブカルチャーというよりは、バンド的な空気なんですかね。




そうですね。バンドが多いんじゃないかな。

—  やはり、三島という街からの影響も大きそうですね。






そうですね。隣町の沼津も自転車で15分くらいで、沼津も音楽カルチャーが盛んだったので、三島・沼津が僕の中で一緒くたになってて。行き来して遊んでましたね。

—  バンドやデザインの延長で店が始まって、そこに三島という街の横の繋がりもあった。そう考えると、「SLEEPYY」というお店はとても自然に出来上がった感じがしますね。今も住んでいるのは三島ですよね?




そうです。ずっと実家に30歳くらいまでいて、お店を始めて、三島に引っ越して来て、お店の近くに住んでます。


三島って徒歩でまわれちゃう街なんですよね。三島駅からここまで15分とか20分くらいなんで、三島市民は全然歩いちゃいますね。
その中でもこのエリアは結構のんびりしたエリアですね。どちらかというとおじいちゃんやおばあちゃんが多くて。それもあって家賃も安いんだと思いますけど、その空気感が自分には合ってます。人も多くもなく、少なくもなくって感じで、のんびり出来るし。自然もあるし。


あと、コロナ以降移住者の方も結構増えていて、カルチャーが好きな方も増えてますね。三島は今とても面白い場所だと思います。三島ってまだ完成していない街なんですよ。僕は長野の松本も好きなんですけど、松本って新規でお店を始める隙がない感じもするんです。
三島は隙だらけなんで(笑)。けど、強いお店がいっぱいあるし、まだまだ伸び代がある土地なので、そこも楽しいかなってずっと思ってますね。



—  確かに、都内が異常な家賃になっているから、この先は面白い個人店が東京以外の場所に出来ることが多くなりそうですよね。若い子たちもお店に来たりしますか?




アンテナ張ってる子たちが来てくれますね。もちろん大学生のお客さんとかも来ますけど、やっぱりサブカルチャーとかが好きな人が来てくれてる感じですね。あと、スケートをやってる中学生の子が、いつもお母さんとTシャツを買いに来てくれたりとか。そういうお客さんがちょこちょこいますね。


—  「SLEEPYY」には、老若男女じゃないですけど、色々な人が来そうですよね。






意外と来てくれますね。Instagramで知ってくれた若い人が来たりとか、近所のおばちゃんが「何この店?」みたいな感じでコーヒーを飲みに来て、もんちと遊んで帰るとか。



—  お茶も飲めるってのが良いですよね。




そうですね。で、その間僕は気にせず横でデザイン作業してたりして。



—  元々のポップなものに対する嗜好をお店としてだんだん表現するようになったのも、この街の、いろんな人がお客さんとして来てくれるという空気感があったからなんですかね?






そうだと思います。僕は元々人が苦手だったんで(笑)。店もどっちかというとやりたくない! って感じで(笑)。どっちかというと否定され続けた人生だったんで。
それでカウンターカルチャーとかが好きだったんですけど、お店を始めて、良いねって言ってくれる人がすごく多くて、良いんだ! って思って、ちょっとずつ丸くなりました(笑)。
もっとトゲトゲしてましたからね、20代とか。もう敵しかいねぇ! みたいな感じだったんですけど。優しくしてもらいましたね、三島に。

—  最高ですね。今後「SLEEPYY」としてやっていきたいことって何ですか?




どうなんですかね。そこまであんまり考えてないんですけど、僕のこういう世界観が好きだったり、似たようなことをやってる人と、どんどん繋がっていきたいですね。



それこそ一緒に面白いイベントやろうよとか、そういうことをずっと続けていけたら良いかなって思ってます。モノづくりも、今回みたいに展示の機会をいただいたら、じゃあ何か作ろうかなって考えて、そのとき自分が作りたいものをパッと出すのが、フレッシュで良いかなって思ってます。


自分が好きなものを、感覚として共有出来る人を探していきたいんですよね。それは人生のテーマなのかもしれないです。

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